発電のしかたには、それぞれ出せる量・変わりやすさ・止まる条件があること。だから「どれが一番いいか」ではなく「何を、どれだけ、どう組み合わせるか」という問いになると気づく。
教科書は、発電方法の長所と短所を表で比べます。この時間はその表を自分の手で作る時間です。数字は覚えるものではなく、確かめるものになります。
中学校学習指導要領(平成29年告示)理科 第1分野「科学技術と人間」。教科書では次の位置にあたります。
| 発電のしかた | 出せる電気 | 家(1,000W)に直すと | 変わるところ・止まる条件 |
|---|---|---|---|
| 太陽光発電機 | 1,000 W | 1 軒 | 雨の日は 200 W(5分の1) |
| 発展型太陽光発電機 | 6,000 W | 6 軒 | 同じく雨に弱い |
| 風力発電機 | 1,200〜9,600 W | 1.2〜9.6 軒 | 建てる高さで8倍変わる |
| 水力発電機(水車) | 最大 450 W | 0.45 軒 | 水の勢いで変わる |
| 原子力発電所(沸騰水型) | 320,000 W | 320 軒 | 燃料1つで4分。廃棄物が5たまると止まる |
| 非常用ディーゼル発電機 | 160 W | 0.16 軒 | 非常時だけ。ポンプを動かすための備え |
| 過程 | 時間 | 学習活動 | 教師の指導・援助 |
|---|---|---|---|
| つかむ | 6分 | まちを歩いて、家が何軒あるか数える。 ・「20軒ある」 ・「じゃあ20,000W いるのか」 必要な量を黒板に書く。 |
まず必要量を確定させる。ここが決まらないと比較が始まらない。数えるところは省かない――自分で出した数字だから、あとの判断が自分のものになる。 |
| 問題 | 4分 | 学習課題をつかむ。 | 板書: 20,000Wを、どの発電でまかなうか。理由も言えるようにしよう。 |
| 調べる (活動1) | 14分 | 班ごとに発電機を建てて、1つあたりの出力を画面で読む。表を自分で埋める。 ・太陽光は1,000W。20枚いる ・原子力は320,000W。1基でおつりがくる ・水車は450W。44台必要 |
「原子力だけでいい」という声が必ず出る。そこで止めない。次の活動でその判断が揺れるようにする。 |
| ゆさぶる (活動2) | 12分 | 2つの出来事を起こして、もう一度考える。 ①雨を降らせる(太陽光 1,000→200W) ②原子炉を動かし続ける(廃棄物が5たまって停止する。止めたあとも冷やし続ける必要がある) |
①は /weather rain、戻すのは /weather clear。 ②は燃料を入れて放っておけば起きる。止まった瞬間、まちのあかりが消えるのを全員で見る。 |
| 考える | 9分 | 組み合わせを考えて、班で1つ決める。 ・「原子力+太陽光。雨の日は原子力が支える」 ・「風力を高い所に建てる。でも8倍変わるのは不安」 ・「廃棄物の行き先を先に決めておかないと止まる」 |
正解は出さない。「なぜそれを選んだか」を必ず言わせる。 「1つで足りる」から「組み合わせる」へ、判断が動いたことを取り上げる。 |
| まとめる | 5分 | 分かったことを書く。 ・発電のしかたには、量・変わりやすさ・止まる条件がある ・1つだけに頼ると、その弱点がまちごと止める ・だから組み合わせて使っている |
板書: エネルギー資源を選ぶとは、長所を選ぶことではなく、短所をどう補い合わせるかを決めること。 |
| 観点 | 評価規準 |
|---|---|
| 知識・技能 | 発電方法ごとに出力・変動・停止条件が異なることを、具体的な数値をもとに理解している。 |
| 思考・判断・表現 | 必要量に対して発電方法を選び、その理由を出力・変動・停止条件の3つの面から説明している。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 自分の選択を、条件が変わったときに見直そうとしている。 |
エネクラは、うまくいくところだけを作っていません。原子力は廃棄物が溜まれば止まり、止めたあとも冷やし続ける必要があり、非常時の備えも要ります。太陽光は雨で5分の1になります。
どの発電を推すことも、否定することもしません。教材の中身の決定権は当社が持っていますので、特定の立場に寄せた改変は行いません。賛否のあるテーマは、両方の立場を体験できる形で扱います。