電気は「つくれば届く」ものではなく、どれだけ要るのか・何でまかなうのか・条件が変わったらどうするのかを決める必要がある。その決め方を、自分たちで一度やってみる。
教科の授業と違い、総合には決まった答えがありません。この単元でも正解は用意しません。代わりに、判断が変わるだけの条件を出します。子どもが最初に出す答えは、たいてい「原子力だけでいい」です。そこから自分で考えを変えるところまでが、この4コマです。
小学校・中学校学習指導要領(平成29年告示)「総合的な学習の時間」。目標に示された探究的な学習の過程に沿って構成しています。
| 探究のプロセス | この単元での学習活動 |
|---|---|
| ① 課題の設定 | まちを歩き、家の数から必要な電気の量を自分で出す。「このまちの電気をどうするか」を課題にする |
| ② 情報の収集 | 発電のしかたごとに、出せる電気の量を画面で読み取って表にする |
| ③ 整理・分析 | 雨・停止などの条件を加え、量だけでは決められないことを確かめる |
| ④ まとめ・表現 | 班として組み合わせを決め、理由を添えて提案する |
| 発電のしかた | 出せる電気 | 家(1,000W)に直すと | 変わるところ・止まる条件 |
|---|---|---|---|
| 太陽光発電機 | 1,000 W | 1 軒 | 雨の日は 200 W(5分の1) |
| 発展型太陽光発電機 | 6,000 W | 6 軒 | 同じく雨に弱い |
| 風力発電機 | 1,200〜9,600 W | 1.2〜9.6 軒 | 建てる高さで8倍変わる |
| 水力発電機(水車) | 最大 450 W | 0.45 軒 | 水の勢いで変わる |
| 原子力発電所(沸騰水型) | 320,000 W | 320 軒 | 燃料1つで4分。廃棄物が5たまると止まる |
| 非常用ディーゼル発電機 | 160 W | 0.16 軒 | 非常時だけ。ポンプを動かすための備え |
| コマ | 探究の過程 | 学習活動 | 教師の指導・援助 |
|---|---|---|---|
| 1 | ① 課題の設定 | まちを歩いて見る。夜にすると真っ暗だと気づく。 家が何軒あるか数える。 ・「20軒ある」 ・「じゃあ 20,000W いるのか」 課題をつくる:このまちの電気を、どうやってまかなうか。 |
まず必要量を確定させる。ここが決まらないと比較が始まらない。数えるところは省かない――自分で出した数字だから、あとの判断が自分のものになる。 課題は教師が言わず、子どもの言葉を拾って板書する。 |
| 2 | ② 情報の収集 | 班ごとに発電機を建て、1つあたりの出力を画面で読む。記録用紙の表を自分で埋める。 ・太陽光は1,000W。20枚いる ・原子力は320,000W。1基でおつりがくる ・水車は450W。44台必要 |
「原子力だけでいい」という声が必ず出る。ここで止めない。次のコマで判断が揺れるようにする。 数字は教えない。読み取らせることに意味がある。 |
| 3 | ③ 整理・分析 | 2つの出来事を起こして、集めた数字を見直す。 ①雨を降らせる(太陽光 1,000→200W) ②原子炉を動かし続ける(廃棄物が5たまって停止する。止めたあとも冷やし続ける必要がある) 止まった瞬間、まちのあかりが消える。 「量だけでは決められない」と気づく。 |
①は /weather rain、戻すのは /weather clear。②は燃料を入れて放っておけば起きる。 あかりが消える瞬間を全員で見る。説明よりここが効く。 気づきを「量・変わりやすさ・止まる条件」の3つに整理して板書する。 |
| 4 | ④ まとめ・表現 | 班で組み合わせを1つ決め、提案として発表する。 ・「原子力+太陽光。雨の日は原子力が支える」 ・「風力を高い所に建てる。でも8倍変わるのは不安」 ・「廃棄物の行き先を先に決めないと止まる」 最後に、自分のまちではどうかを書く。 |
正解は出さない。「なぜそれを選んだか」を必ず言わせる。 1コマ目と考えが変わった班を取り上げ、変わったこと自体を価値づける。 板書:選ぶとは、長所を選ぶことではなく、短所をどう補い合わせるかを決めること。 |
| 観点 | 評価規準 |
|---|---|
| 知識・技能 | 発電のしかたによって、出せる量・変わりやすさ・止まる条件が異なることを、具体的な数値をもとに理解している。 |
| 思考・判断・表現 | 必要な量に対して組み合わせを選び、その理由を量・変動・停止条件の3つの面から説明している。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 条件が変わったときに、自分がいったん出した答えを見直そうとしている。 |
探究を1周だけする、いちばん短い形です。総合の時間を大きく空けられない場合や、はじめてエネクラを使う場合はここから始めてください。
| 構成 | 向いている場合 |
|---|---|
| 4コマ(この案) | まず1周させたい。時間が確保しにくい。学級で初めて扱う |
| 5コマ(③-2) | 自分のまちを調べる時間を入れて、地域とつなげたい |
| 6コマ(③-3) | 中間発表を入れて2周させたい。探究を「繰り返す」形にしたい |
この指導案は無料で公開しています。印刷・改変・校内での共有に、許可の申請は要りません。学年や実態に合わせて、時間配分や発問を変えてお使いください。