一度出した答えを、他の人からの問いを受けて、自分たちで作り直す。探究は1回で終わるものではなく、問い直すたびに深くなる――そのことを、6コマの中で実際に一度経験する。
指導要領は、探究の過程を「発展的に繰り返していく」ことを求めています。③-1と③-2は1周する構成ですが、この案だけは4コマ目に中間発表を置いて、そこから2周目に入ります。時間が確保できるなら、この形がいちばん指導要領の求める姿に近くなります。
小学校・中学校学習指導要領(平成29年告示)「総合的な学習の時間」。探究的な学習の過程を2周させます。
| 周 | 探究のプロセス | この単元での学習活動 |
|---|---|---|
| 1周目 | ① 課題の設定 | まちを歩き、家の数から必要な電気の量を出す |
| ② 情報の収集 | 発電のしかたごとの出力を画面で読み取る | |
| ③ 整理・分析 | 雨・停止の条件を加えて確かめる | |
| ④ まとめ・表現 | 中間発表。班の案を出し、他の班から問いをもらう | |
| 2周目 | ①〜③ 再設定・再収集・再分析 | もらった問いに答えるため、調べ直し・作り直す |
| ④ まとめ・表現 | 最終提案としてまとめ、発表する |
| 発電のしかた | 出せる電気 | 家(1,000W)に直すと | 変わるところ・止まる条件 |
|---|---|---|---|
| 太陽光発電機 | 1,000 W | 1 軒 | 雨の日は 200 W(5分の1) |
| 発展型太陽光発電機 | 6,000 W | 6 軒 | 同じく雨に弱い |
| 風力発電機 | 1,200〜9,600 W | 1.2〜9.6 軒 | 建てる高さで8倍変わる |
| 水力発電機(水車) | 最大 450 W | 0.45 軒 | 水の勢いで変わる |
| 原子力発電所(沸騰水型) | 320,000 W | 320 軒 | 燃料1つで4分。廃棄物が5たまると止まる |
| 非常用ディーゼル発電機 | 160 W | 0.16 軒 | 非常時だけ。ポンプを動かすための備え |
| コマ | 探究の過程 | 学習活動 | 教師の指導・援助 |
|---|---|---|---|
| 1 | ① 課題の設定 | まちを歩いて見る。夜にすると真っ暗。 家が何軒あるか数える。「20軒=20,000W いる」 課題:このまちの電気を、どうやってまかなうか。 |
必要量を先に確定させる。数えるところは省かない。 |
| 2 | ② 情報の収集 | 班ごとに発電機を建て、出力を画面で読む。表を埋める。 ・太陽光は1,000W。20枚いる ・原子力は320,000W。1基でおつりがくる |
「原子力だけでいい」が出る。ここで止めない。数字は教えず読み取らせる。 |
| 3 | ③ 整理・分析 | 条件を変える。 ①雨を降らせる(太陽光 1,000→200W) ②原子炉を動かし続ける(廃棄物が5たまって停止。止めたあとも冷やし続ける) 「量だけでは決められない」と気づく。 |
①は /weather rain、戻すのは /weather clear。 あかりが消える瞬間を全員で見る。 気づきを「量・変わりやすさ・止まる条件」に整理して板書。 |
| 4 ★山場 | ④ まとめ・表現 (中間発表) |
班ごとに1周目の案を発表する。 聞いている班は問いを1つ書いて渡す。 ・「雨が3日続いたらどうするの?」 ・「廃棄物はどこに置くの?」 ・「夜は太陽光が0なのでは?」 |
教師は評価しない。問いを集めることに徹する。 「よい問い」を取り上げて全体に共有する。答えられない問いが出た班ほど、2周目が濃くなることを伝える。 ここで単元が折り返す。 |
| 5 | ①〜③ 2周目 |
もらった問いに答えるために、調べ直し・作り直す。 ・夜と雨を両方試す ・廃棄物の行き先を作る(再処理まで扱える) ・発電所を建て替える/組み合わせを変える 何を変えたかを記録する。 |
作り直しを「失敗のやり直し」にしない。問いに答えるために変えた、という位置づけを言葉にする。 変えなかった班もよい。「変えない理由」を説明できれば、それも探究です。 |
| 6 | ④ まとめ・表現 | 最終提案を発表する。1周目から何を変えたかを必ず入れる。 ・「雨が続く前提にしたら、原子力を足すことにした」 ・「廃棄物の置き場を先に決めた」 最後に、自分のまちではどうかを書く。 |
正解は出さない。 評価の中心は結論ではなく「1周目と何が変わり、なぜ変えたか」。 板書:選ぶとは、長所を選ぶことではなく、短所をどう補い合わせるかを決めること。 |
| 観点 | 評価規準 |
|---|---|
| 知識・技能 | 発電のしかたによって出せる量・変わりやすさ・止まる条件が異なることを、具体的な数値をもとに理解している。 |
| 思考・判断・表現 | 他者からの問いを踏まえて自分たちの案を検討し直し、変更点とその理由を説明している。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 問いを受けて調べ直そうとし、一度出した答えを見直している。 |
探究を「繰り返す」形にできる、唯一の構成です。指導要領が求める「発展的に繰り返す」姿に最も近く、研究授業や公開授業にも向きます。時間の確保が要るぶん、得られるものが変わります。
| 構成 | 向いている場合 |
|---|---|
| 4コマ(③-1) | まず1周させたい。時間が確保しにくい |
| 5コマ(③-2) | 自分のまちを調べる時間を入れて、地域とつなげたい |
| 6コマ(この案) | 中間発表を入れて2周させたい。研究授業・公開授業で扱いたい |
この指導案は無料で公開しています。印刷・改変・校内での共有に、許可の申請は要りません。学年や実態に合わせて、コマ数や発問を変えてお使いください。