W(ワット)は、1秒あたりにどれだけ電気を使うかを表す。数字を覚えるのではなく、足すと上限を超えるという形で確かめる。そのうえで、必要な電力を見積もる。
電力の計算は、紙の上では正解が出ても、実感が伴いにくいところです。この時間は計算した結果が、その場でブレーカーとして返ってくる形にしてあります。
中学校学習指導要領(平成29年告示)理科 第1分野「電流とその利用」。この単元は範囲が広く、本教材で扱えるのは一部だけです。正直に線を引いておきます。
| 単元の内容 | 本教材で |
|---|---|
| 電力(W)・電気エネルギーの量 | 扱えます。すべての機器がW表示で、合計すると上限を超えます |
| 電流・電圧の測定、オームの法則、抵抗 | 扱えません。実験と併用してください |
| 直列回路・並列回路 | 扱えません。 |
| 電流の発熱(熱量・ジュール) | 扱えません。 |
| 電流の磁気作用・電磁誘導・静電気 | 扱えません。 |
家の中で使う電力
| 道具 | 電力 | 使い方 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 200 W | ずっと動いている |
| あかり(LED) | 50 W/1つ | つけている間 |
| テレビ | 100 W | つけている間 |
| エアコン | 300 W | つけている間 |
| 洗濯機 | 500 W | 短い時間に一気に |
| 電子レンジ | 600 W | 短い時間に一気に |
家に入れられる上限(引込盤で選びます)
| 契約 | 使える電力 | 毎月の基本料金 |
|---|---|---|
| 10 A | 1,000 W | 311 円 |
| 20 A | 2,000 W | 624 円 |
| 30 A | 3,000 W | 935 円 |
つくる側の電力
| 発電のしかた | 電力 | 家(1,000W)に直すと | 変わるところ |
|---|---|---|---|
| 太陽光発電機 | 1,000 W | 1 軒 | 雨の日は 200 W |
| 発展型太陽光発電機 | 6,000 W | 6 軒 | 同じく雨に弱い |
| 風力発電機 | 1,200〜9,600 W | 1.2〜9.6 軒 | 建てる高さで8倍変わる |
| 原子力発電所(沸騰水型) | 320,000 W | 320 軒 | 廃棄物が5たまると止まる |
| 過程 | 時間 | 学習活動 | 教師の指導・援助 |
|---|---|---|---|
| つかむ | 5分 | 教師の画面で、家の道具を1つずつつけていく。電子レンジをつけた瞬間にブレーカーが落ちて、家じゅうが真っ暗になるのを見る。 | 説明せずに、まず落として見せる。 「合計が上限を超えた」という言い方に、生徒の言葉から近づける。 |
| 課題 | 3分 | 学習課題をつかむ。 | 板書:W(ワット)とは何か。合計するとどうなるか。 |
| 調べる (活動1) | 12分 | ワールドに入り、道具を1つずつつけながら合計を計算する。どこで落ちるかを確かめる。 ・冷蔵庫200+LED2つ100=300W ・電子レンジ600Wを足して900W。まだ大丈夫 ・洗濯機500Wを足すと1,400W → 落ちる |
W=1秒あたりに使う電気の量、という定義をここで確認する。 落ちた瞬間を全員が体験することが大事。早く終わった生徒には「落ちない組み合わせ」を探させる。 |
| 広げる (活動2) | 15分 | 視点をつくる側に移す。まちの家を数え、必要な電力を出す。 ・「20軒=20,000W」 発電機を建てて、1つあたりの電力を画面で読む。何台必要かを計算する。 ・太陽光1,000W → 20台 ・原子力320,000W → 1基でおつりがくる |
同じ「W」が、使う側と つくる側の両方で使える単位であることに気づかせる。 ここが、家の中の計算と、社会の中の電力をつなぐところ。 |
| ゆさぶる | 10分 | 雨を降らせる。太陽光が 1,000→200W になる。20台では足りなくなる。 「同じ台数でも、条件で変わる」 足りない分をどうするかを考える。 |
/weather rain で雨、/weather clear で晴れ。 「定格」と「実際に出る量」は違う、という見方に触れる。見積もりには余裕が要ることに気づかせたい。 |
| まとめる | 5分 | 分かったことを書く。 ・W は1秒あたりに使う(つくる)電気の量 ・使う側は合計が上限を超えると止まる ・つくる側は条件で出る量が変わるので、余裕が要る |
板書:電力を見積もるとは、合計と上限、そして変わり幅を同時に見ること。 次時(オームの法則・回路の実験)へつなぐ言葉を添える。 |
| 観点 | 評価規準 |
|---|---|
| 知識・技能 | 電力(W)が単位時間あたりに消費(供給)される電気の量であることを理解し、複数の機器の電力を合計して上限と比較している。 |
| 思考・判断・表現 | 必要な電力に対して発電の台数を見積もり、条件(天候など)によって供給量が変わることを踏まえて説明している。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 自分の見積もりが条件によって成り立たなくなったとき、見直そうとしている。 |
| 学年 | 指導案 | 関係 |
|---|---|---|
| 小6 理科 | ① 限られた電気で、くらしをつくる | 同じ導入(ブレーカー)を小学校向けにした形。既習の確認に |
| 中3 理科 | ② このまちの電気を、何でまかなうか | 後。エネルギー資源の選択へ進む |
| 総合 | ③-1〜③-3 このまちの電気を決める | 4〜6コマかけて探究として扱う場合 |
この指導案は無料で公開しています。印刷・改変・校内での共有に、許可の申請は要りません。